「真紅さま お手紙はリヨンから回りまわって、やっと手元に届きました。表の住所からおわかりのように、 僕は今南仏アルデッシュにある修練院で毎日、畑仕事や肉体労働に明け暮れています。 (中略) でも、僕は信仰を失ったのではないんです。 少年の時から、母からただひとつ信じる事ができたのは母のぬくもりでした。体のぬくもり、愛のぬくもり。 母は僕に玉ねぎの話をいつもしてくれましたが、玉ねぎはこのぬくもりのもっともっと強い塊ー つまり愛そのものなのだと教えてくれました。 大きくなり、母を失いましたが、母のぬくもりの源にあったのは玉ねぎの一片だと気づきました。 そして僕が求めたのも愛だけで、教会の口にする、多くのほかの教義ではありません。 (もちろんこんな考えも、僕が異端と見られた原因です) この世の中心は愛で、玉ねぎは長い歴史の中で、それだけを僕達人間に示したのだと思っています。 現代の世界で最も欠如しているのは愛であり、 誰もが信じないのが愛であり、 せせら笑われているのが愛であるから、 この僕くらいはせめて玉ねぎのあとを愚直について行きたいのです。 やる夫」 └i::r‐ァ'=〈.:.:.:.:.:/i:i:i:i:i:/.:.:./V′-‐ ' ,′ ` =ニ二.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.∠, |_彡'/7.:.:.:.:i:i:i:i:i:i/.:.:.:.し; '/ /} \=ニ二.:.:.:.:.:.:.:.r′ ______.:斗彡' {.:.:.:.:|:i:i:i:i:i:|.:.:.:.:.ノ / / , /| =ニ二.:.:.:.:.:.:.:〕 //⌒^ ´__/≪. : }.:.:.:.:|:i:i:i:i:i:|.:.∠/ / / | Vニ二.:.:.:.:.( ´ ,〃⌒´ . : /}_.:.:.:|:i:i:i:i:i:|.:.:ノ' / / / , ′.: }=ニ二.:.:.:.:.) // /:.:i:IK.:.:.|:i:i:i:i:/.:.( / / /' // // =ニ二.:.:..:う /′ ∠:.:.:.:.:i:l:i ヘ.:|:i:i:i/t℃‐-/_/ / // // // , =ニ二.:.rチ /.: /⌒ヾ:.:.:i:l:l:i. (⌒7.:fチt厶=xt;/7/ //,: // // / ′:r辷彡' (この彼からの手紙を読んだのは、ボランティアで _ -‐ / {:.:i:l:l圦 }.:':/ /f^ぅi:i:i'仞ーjィ//十-/_/,.ィ' /=ニ7 | 通っていた病院の待合室でだった。 _ .: 彡 }i:l:l:l:lハ V-‐/ 弋fン `^ィ芯x///.:/=ニ「 :| 『真に人を愛せぬ人間が、どうしてこの世に =-‐ __〉-‐=ニ¨’.:ハ ぅi:fン'7^f=彡^Y' /′ 自己の存在を主張しうるのか』 //⌒7^ x≪i:i:i:∧,____ ' `^ /.:// |i //| ボランティアをはじめたのは、その倒錯した気持ち r=彡ー-=く∠:ti:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:〉 ‘ ' .:′{′ |/.: | からだった。愛の火種のない女。 / -‐=ミ、 `寸i:i:i:i:i:i:i:i:i:廴__ . .x:i升ァ八 .:/ | 病人の尿器を洗ったり、食事の世話をしながら __^⌒¨7ニ=- `ニ=‐-ミ ,>:i:i:i:i:i:i:i「}7kx:i:i:i::i:i:i:i:i:i∧ \ // .: 自分の滑稽さをかみしめていた頃だった。 ∠≦=弌=―-ニ _ \i:iYi:i:i:i:i:i:i:i:i:{辻彡'/):i:i:i:i:{_ニ=-ー(^く\ / 愛を知るやる夫を羨ましいとは思わなかったが、 -=ニ二¨ニ¬=‐- . _ \j厂^く:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/ 〃⌒^う〉:≦_⌒Yヽ\V 彼の言葉に私は傷ついた。) (廴_ x≪⌒^ミー=≦_^⌒.:.:.:.:.:.\:i:i:i:i/州i:i:| / /´/=ミ__ } 廴} } }′ .≫x ー- __:ノ厂7¨´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/厂:i:i:i:i:i:i:i:i:| ′{/ /′ ノ / .'_ .:_.:.:.: ̄¨:¬=彡:.:/_ -‐=ニ⌒´:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:j八 {f^ー{ / __/}/ ⌒\.:.:.:.:.:.:.:.:.:≪:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/丁i:i:i:i:i:}^L_ ノ㌣i:i㌣:i㏍i:i:Y{
やる夫と真紅は深い河を渡るようです | |
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作者 | ◆X0w9eXOmmQ |
ジャンル | 小説 |
原作 | 遠藤周作「深い河」 |
時代 | 1980年代 |
舞台 | インド |
投下日 | 2011年5月25日 |
投下板 | やる夫板2nd |
状態 | 完結 |
最終投下日 | 2011年6月5日 |
話数 | 11話 |
主な登場人物 | やる夫、真紅、ピカチュウ、碇ゲンドウ、桜田ジュン、黒、野比のび太、ドラえもん |
やる夫と真紅は深い河を渡るようですは、遠藤周作の「深い河」を原作とした中編やる夫スレ。
作者は◆X0w9eXOmmQ。2011年5月25日から6月5日にかけて連載された。
概要[]
小説原作のスレであり、各登場人物の独白としての文字が非常に多い。
原作者の思想では、「日本人のキリスト教」が大きなテーマとなっており本作にも反映されている。タイトルの「深い河」とは、インドのガンジス川の事。“Deep River”というと、一般には黒人霊歌「深き河」で出てくるヨルダン川を指すが、この場合は、日本とインドとヨーロッパの宗教と文化の間の「深い河」を暗示しているという。
外部リンク[]
- まとめ(ぶらりとやる夫):やる夫と真紅は深い河を渡るようです
- まとめ(やる夫まとめもZ):やる夫と真紅は深い河を渡るようです
- まとめ消滅(好き好き大好きやる夫くん):
やる夫と真紅は深い河を渡るようです